健康経営優良法人2027(中小規模法人部門)の申請受付が、2026年10月16日に締め切られました。
今年度、弊社では7社の申請をサポートさせていただきました。ご担当者の皆さま、日々の業務と並行してのご準備、本当にお疲れさまでした。認定結果は、例年どおりであれば2027年3月ごろに発表される見込みです。
本記事では、今回サポートした7社の特徴と、申請を通じて見えてきた「認定に近づく会社の共通点」をまとめました。「うちのような小さな会社でも取れるの?」「何から始めればいいの?」とお考えの経営者の方の参考になれば幸いです。
※企業名は伏せ、業種と規模(概数)のみでご紹介しています。
1. 今回サポートした7社の顔ぶれ
| 業種 | 従業員規模 | 申請 | 重点テーマ | |
|---|---|---|---|---|
| A社 | 製本業 | 約80名 | 初回 | 現場作業の疲労・腰痛対策 |
| B社 | 情報通信業 | 約120名 | 継続 | メンタルヘルス(高ストレス者への面談) |
| C社 | 運輸業(梱包・配送) | 約60名 | 継続 | 生活習慣病の予防(肥満対策) |
| D社 | 製造業 | 約70名 | 継続(6年目) | 運動習慣の定着 |
| E社 | 専門・技術サービス業 | 約70名 | 継続 | メンタルヘルス(相談できる職場づくり) |
| F社 | 生活関連サービス業 | 7名 | 継続 | 運動習慣の定着(歩数アップ) |
| G社 | 生活関連サービス業 | 3名 | 継続 | 社内コミュニケーションの改善 |
規模は3名から約120名まで、業種も製造・運輸・IT・サービス業とさまざまです。「健康経営は大企業のもの」というイメージとは裏腹に、従業員数名の会社でも継続して取り組まれています。
各社の取り組みをご紹介
■ A社(製本業・約80名)|初めての申請
従業員の約8割が現場作業で、50歳以上が半数を超える会社です。従業員アンケートを行ったところ、健康上の理由で本来の力を発揮できていない割合(プレゼンティーイズム)が27.4%と、全国平均(17.4%)を大きく上回っていました。そこで、朝礼でのラジオ体操、疲れたら休憩・水分補給をとってよいというルールの明示、毎月の健康情報の配布という、すぐに始められる3つの取り組みからスタート。8月にご相談をいただき、約2か月で申請までたどり着きました。
■ B社(情報通信業・約120名)|メンタルヘルス対策
ストレスチェックで高ストレス者が確認されたことから、面談を希望する方全員に産業医または上長との面談を確実に実施する体制を整えました。月1回の衛生委員会で進捗を確認しています。また、2年連続で行った従業員アンケートでは「介護と仕事の両立」や「お金の不安」が上位に挙がり、介護制度の周知やマネーセミナーなど、健康施策の枠を超えた取り組みにもつなげています。
■ C社(運輸業・約60名)|経営者自らが全員と面談
健診でBMI25超の従業員が28名→22名に減ったものの、目標の20名以下には届いていませんでした。そこで社長自らが対象者22名全員と個別面談を行い、生活習慣改善をアドバイス。あわせて職場の自動販売機を低カロリー・低糖質の飲料中心に切り替えました。経営トップが直接関わることで、取り組みが「本気」として伝わる好例です。
■ D社(製造業・約70名)|6年目の継続申請
アンケートで運動習慣のある従業員が36%にとどまったことから、ジム利用費用の会社負担、サプリメントや乳酸菌飲料の現物支給、健診結果に基づく専門家との個別面談を継続。「運動習慣のある従業員を50%以上に」という明確な目標を掲げています。
■ E社(専門・技術サービス業・約70名)|「相談できない」をなくす
アンケートで悩みや不安を「上司や同僚に相談できない」が70%にのぼりました。社内外の相談窓口を設けて全員に個別通知し、個別面談で体調や悩みを確認、経営層からセルフケアに関するメッセージを発信。「相談できる」と答える従業員を31%から50%以上にすることを目指しています。
■ F社(生活関連サービス業・7名)|アプリで歩数アップ
平均歩数が1日3,000歩と少ないことが課題でした。歩数を計測・共有できるアプリを導入し、毎日確認するよう声をかけた結果、平均4,500歩まで向上。6,000歩を目標に取り組みを続けています。
■ G社(生活関連サービス業・3名)|少人数でもできるコミュニケーション施策
職人と事務スタッフの間で情報共有がうまくいかず、業務上のミスにつながっていたことから、毎週全員参加のオンライン意見交換会を開催。参加率90%以上を目標にしています。
2. 7社をサポートして見えた「認定に近づく会社」5つの共通点
共通点① 「なんとなく」ではなく、数字で課題をつかんでいる
申請書で最も重視されるのが、自社の健康課題と、それに対する取り組み・目標・進捗を記載する設問(Q10)です。今回の7社のうち4社は、従業員アンケートを実施して課題を数値化しました。
「プレゼンティーイズム27.4%」「相談できない人が70%」「運動習慣36%」——こうした数字があると、課題→取り組み→目標→進捗が一本の線でつながり、説得力のある申請書になります。アンケート結果をもとにした取り組みは、従業員の納得感も高まります。
共通点② お金をかけるより「すぐ始められること」から
ラジオ体操、休憩ルールの明示、毎月の健康情報、週1回のオンラインミーティング、自販機の入れ替え——。今回の取り組みの多くは、大きな費用をかけずに始められるものです。
健康経営は「立派な施策を並べること」ではなく、「自社の課題に合った取り組みを、確実に続けること」が評価されます。特に中小企業では、背伸びせず「続けられること」を選ぶのが成功のコツです。
共通点③ 経営者が「自分ごと」として関わっている
C社の社長による全員面談、E社の経営層からのメッセージ発信のように、経営トップが直接関わっている会社ほど、取り組みが社内に浸透しています。健康経営は「総務の仕事」にしてしまうと形だけになりがちです。社長の一言、社長の行動が、従業員の参加意欲を大きく左右します。
共通点④ 申請書を「自社の言葉」で書いている
今年度は認定事務局から、他社と類似した文章の申請書について注意喚起が出されています。テンプレートをそのまま使ったり、前年の文章をほぼ使い回したりすると、評価に影響するおそれがあります。
今回のサポートでも、下書きは弊社でお手伝いしつつ、最終的にはご担当者に読んでいただき、自社の言葉・自社の数字・実施人数に直していただくことを徹底しました。
共通点⑤ 取り組みの「証拠」を残している
申請内容については、事務局から後日確認が入ることがあります。社内掲示の写真、配布した資料、参加者名簿、面談記録など、「やったことを示せる記録」を日頃から残しておくことが大切です。継続申請の会社ほど、この習慣が身についていました。
3. 申請サポートで多かった「つまずきポイント」
一方で、どの会社でも共通して確認に時間がかかったポイントもあります。これから申請を考えている方は、ぜひ参考にしてください。
- 健診受診率100%の確認:長年受診を辞退している方が1名いるだけでも要件に影響します。対象者の数え方(パート・アルバイトの扱い、休職者の除外など)も含めて早めに確認を。
- 従業員数の集計時点のずれ:資料によって人数が違う、というケースは意外と多くあります。集計時点を決めて、申請書全体で数字をそろえることが大切です。
- 加入している保険者(協会けんぽ・健康保険組合)の確認:健康宣言の提出先と申請書の記載が一致していないと、不認定につながることがあります。
- 前年の文章・数値の更新漏れ:「2025年度は…」のまま、進捗の数値と指標の数値が食い違ったまま——継続申請では特に注意が必要です。
- 2027年版での設問の変更:選択肢の再編や設問の統合があり、前年の回答をそのまま転記できない項目がありました。
4. 来年度(2028認定)に向けて、今から準備できること
健康経営優良法人の申請受付は、例年8月中旬〜10月中旬です。「来年こそは」とお考えの方は、今から動き出すのがおすすめです。
- 健康宣言を出す——加入している協会けんぽ・健康保険組合の健康宣言事業に参加することが、申請の前提になります。
- 健診受診率100%を目指す——受診していない方への声かけ・受診勧奨を、今年度の健診から始めましょう。
- 従業員アンケートで課題を数値化する——6〜7月ごろまでに実施しておくと、申請前に取り組みを始める時間が確保できます。
- 小さな取り組みを1つ始め、記録を残す——朝礼のストレッチ、健康情報の配信など、続けられることから。
まとめ|健康経営は「小さく始めて、続ける」ことがいちばんの近道
今回サポートした7社は、規模も業種もばらばらでした。それでも共通していたのは、自社の課題を数字でつかみ、身の丈に合った取り組みを、経営者が関わりながら続けているということです。
健康経営優良法人の認定は、採用での企業イメージ向上、金融機関の融資優遇、自治体の入札や補助金での加点など、会社にとっての具体的なメリットにもつながります。そして何より、従業員が元気に働ける職場は、会社の生産性そのものを高めてくれます。
弊社では、健康宣言の手続きから、従業員アンケートの実施・分析、取り組みのご提案、申請書の作成サポートまで、一貫してお手伝いしています。「うちの会社でも取れる?」「来年度に向けて何から始めればいい?」という段階でも、どうぞお気軽にご相談ください。
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※本記事は弊社がサポートした企業の申請内容をもとに、企業が特定されないよう業種・規模を概数で記載しています。認定要件・スケジュールについては、経済産業省および日本健康会議(健康経営優良法人認定事務局)の公表資料をご確認ください。