【これから家を買う方向け】金利上昇が続く今、住宅ローンは変動金利と固定金利のどちらを選ぶべきか|住宅ローンアドバイザーが数字で解説

住宅の模型と鍵
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「金利が上がっているらしいけど、今から家を買うなら変動と固定、どっちがいいの?」——ここ数か月、ご相談の場でいちばん多くいただく質問です。

結論を先にお伝えすると、「家計に余裕がある方は、変動金利+金利上昇への備え」、「家計に余裕が少ない方は、固定金利で返済額を確定させる」というのが、2026年10月時点での私の考えです。

「どちらが得か」ではなく「どちらなら自分の家計が耐えられるか」で選ぶ——これが金利上昇局面の住宅ローン選びの基本です。本記事では、最近の金利の動きを整理したうえで、具体的な数字を使ってその理由をご説明します。

1. 何が起きているのか? 2026年の金利上昇を整理

積み上げた硬貨から芽が出ている様子
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政策金利は1.25%へ。「金利のある世界」が本格化

日本銀行は2024年3月にマイナス金利を解除して以降、段階的に利上げを進めてきました。2026年6月に1.0%、そして9月18日には1.25%へ。1995年以来の水準です。

時期 政策金利
2024年3月 0〜0.1%(マイナス金利解除)
2024年7月 0.25%
2025年1月 0.5%
2025年7月 0.75%
2026年6月 1.0%
2026年9月 1.25%

背景には、円安や資源高による物価上昇が続いていること、そして賃上げが定着してきたことがあります。市場では「年内(遅くとも12月)にもう一段の利上げ」を見込む声が多く、10月29〜30日の金融政策決定会合にも注目が集まっています。

長期金利は3%台。固定金利が急上昇

固定金利の目安となる長期金利(10年国債利回り)は、2026年9月に約30年ぶりに3%を付け、10月も3%前後で推移しています。1年前と比べると1%以上の上昇です。

これを受けて、固定金利型の住宅ローンは大きく上がりました。

金利タイプ 2026年10月の水準(目安)
変動金利(メガバンク・ネット銀行の適用金利) 約1.2〜2.2%
10年固定(メガバンク・ネット銀行の適用金利) 約3.4〜4.0%
フラット35(借入期間21〜35年・融資率9割以下の最多金利) 3.83%(半年で+1.34%)

ポイントは、変動金利と固定金利の差が2.5%前後まで広がっていることです。数年前は「変動0.4%、フラット35が1.5%前後」で、差は1%程度でした。固定金利で「将来の安心」を買うための“保険料”が、かつてないほど高くなっている状態だと言えます。

変動金利もこれから上がる

一方、変動金利も上昇が続いています。変動金利の多くは「短期プライムレート(短プラ)」に連動しており、大手行は11月に短プラの引き上げを発表済みです。新規の借入れには12月ごろから9月利上げ分(+0.25%程度)が反映される見込みで、すでに借りている方も、多くの銀行で2027年春以降の見直しで上がる見通しです。

つまり、「変動はまだ1%台だから安心」ではなく、「変動は今後も段階的に上がる前提で考える」必要があります。

2. 数字で比較|4,000万円・35年で借りたらどうなる?

電卓と書類で家計を試算している様子
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では、実際にどれくらいの差が出るのか。借入額4,000万円・返済期間35年・元利均等返済・ボーナス払いなしで試算してみます。

金利ごとの毎月返済額と総利息

金利 毎月の返済額 35年間の利息総額
1.2%(変動の現在水準) 約11.7万円 約901万円
1.5% 約12.2万円 約1,144万円
2.0% 約13.3万円 約1,565万円
2.5% 約14.3万円 約2,006万円
3.0% 約15.4万円 約2,465万円
3.83%(フラット35) 約17.3万円 約3,268万円

スタート時点では、変動(1.2%)とフラット35(3.83%)の毎月返済額の差は約5.6万円。年間にすると約68万円です。

変動金利が上がり続けたら? 4つのシナリオ

次に、変動金利(1.2%スタート)が今後上がっていった場合の35年間の利息総額を、フラット35(3.83%で固定)と比べてみます。

シナリオ 利息総額 フラット35との差
A:1.2%のまま推移 約901万円 約2,370万円 少ない
B:毎年0.25%ずつ上がり、2.5%で止まる 約1,822万円 約1,450万円 少ない
C:毎年0.25%ずつ上がり、3.5%で止まる 約2,402万円 約870万円 少ない
D:毎年0.5%ずつ上がり、4.5%で止まる 約3,329万円 ほぼ同じ(約60万円 多い)
(参考)フラット35:3.83%で固定 約3,268万円 ―

※毎年、その時点の残高・残期間で返済額を再計算した概算です。「5年ルール」「125%ルール」による返済額の調整や、諸費用・団信の上乗せ金利等は考慮していません。

この試算からわかるのは、変動金利が7年ほどかけて4.5%まで上がる、というかなり厳しいシナリオになって、ようやく固定金利と”トントン”になる、ということです。

現在の固定金利の水準には、すでに「この先の利上げ」がかなり織り込まれています。総支払額だけで比べれば、今は変動金利が有利になる可能性が高いというのが、私の見立てです。

3. それでも「全員に変動金利」とは言えない理由

ただし、ここで注意していただきたいのは、住宅ローン選びは「総額の損得」だけで決めてはいけないということです。

① 毎月の返済額が上がっても、家計が耐えられるか

シナリオDのように金利が4%台まで上がると、毎月の返済額は11.7万円 → 17万円台へ。月5万円以上の負担増です。お子さまの教育費がピークを迎える時期と重なれば、家計は一気に苦しくなります。総額で得でも、途中で家計が破綻しては意味がありません。

② 「5年ルール・125%ルール」は万能ではない

変動金利には、金利が上がっても返済額を5年間据え置く「5年ルール」や、見直し時の増額を1.25倍までに抑える「125%ルール」があります。しかし、

  • 返済額が変わらない間も、利息の割合が増えて元本が減りにくくなる
  • 金利が大きく上がると「未払利息」が発生し、最終回にまとめて請求されることがある
  • ネット銀行などではこのルール自体がない商品も多い

という点に注意が必要です。「ルールがあるから大丈夫」ではなく、負担の先送りだと理解しておきましょう。

③ 金利上昇のスピードは誰にも読めない

物価や為替の動き次第では、利上げのペースが速まる可能性も否定できません。私たち専門家も含め、35年先の金利を正確に当てられる人はいません。だからこそ「当たるかどうか」ではなく、「外れたときにも耐えられるか」で選ぶ必要があります。

4. 結論|あなたに合うのはどちら? タイプ別アドバイス

書類に署名している様子
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変動金利がおすすめな方

  • 年間返済額が年収の20%以下に収まっている
  • 生活費の半年〜1年分以上の貯蓄を、頭金とは別に確保できている
  • 夫婦共働きなど、収入が今後も増える・安定している見込みがある
  • 借入額が年収の5〜6倍程度までに抑えられている
  • 「金利が3%に上がっても払える」と試算で確認できている

この条件に当てはまる方は、変動金利で借りて、固定金利との差額(例:月5万円前後)をそのまま積み立てておくのがおすすめです。金利が上がったら繰上げ返済に回し、上がらなければ資産として残る——これが変動金利を「攻め」ではなく「守り」として使う方法です。

固定金利がおすすめな方

  • 年間返済額が年収の25%を超える
  • 頭金を入れると手元の貯蓄がほとんど残らない
  • 今後、教育費・車の買い替えなど大きな支出の予定が多い
  • 自営業など収入の変動が大きい、または定年までに完済できない期間で借りる
  • 金利のニュースを見るたびに不安で眠れなくなりそう

この場合は、多少総額が増えても返済額を確定させる「安心」を買う価値があります。フラット35は、省エネ性能の高い住宅(フラット35S)や子育て世帯・若年夫婦(フラット35子育てプラス)なら当初の金利が引き下げられる制度もあるため、必ず併せて確認しましょう。

迷ったら「ミックスローン」という選択肢も

夫婦で借りる場合や、どちらとも決めきれない場合は、借入額の半分を変動、半分を固定にする「ミックスローン」も有効です。金利上昇リスクを分散しつつ、変動金利の低さも活かせます。ただし、契約が2本になるため事務手数料や登記費用が増える点には注意してください。

どちらを選んでも共通してやるべき3つのこと

  1. 「借りられる額」ではなく「返せる額」で借りる——銀行が貸してくれる上限は、余裕を持って返せる額ではありません。
  2. 金利+2%で試算する——今の金利に2%を足した返済額でも生活が回るかを確認しましょう。
  3. 家計全体で考える——教育費、老後資金、保険、NISAなどの資産形成とのバランスで、住宅ローンの「適正額」は変わります。

まとめ|「どちらが得か」より「どちらなら安心して暮らせるか」

2026年10月現在、固定金利は大きく上昇し、変動金利との差は2.5%前後まで開いています。総支払額だけで見れば変動金利が有利な可能性は高いものの、金利が今後も上がっていくことは前提として考えなければなりません。

  • 家計に余裕がある方→ 変動金利+固定との差額を積み立てて備える
  • 家計に余裕が少ない方→ 固定金利(フラット35S・子育てプラス等も活用)で返済額を確定
  • 迷う方→ ミックスローンでリスクを分散

住宅ローンは、多くの方にとって人生で一番大きな借金です。そして、正解は一人ひとりの収入・家族構成・ライフプランによって変わります。

「うちの場合は変動と固定、どちらがいい?」「この借入額で本当に大丈夫?」——そんな疑問をお持ちの方は、ぜひ個別相談をご利用ください。お客さまの家計に合わせた返済シミュレーションを作成し、教育費や老後資金まで含めたライフプランの中で、無理のない住宅ローンの選び方を一緒に考えます。

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※本記事の金利は2026年10月中旬時点の各金融機関の公表値・報道をもとにした目安です。実際の適用金利は金融機関・審査結果・借入条件によって異なります。返済額は概算であり、将来の金利を予測・保証するものではありません。お借入れの際は必ず各金融機関の最新情報をご確認ください。