【外国人を雇用する企業向け】健康経営のメリットと在留資格(ビザ)申請が簡略化される理由

外国人材を採用する企業が、京都・宇治をはじめ関西でも年々増えています。人手不足を背景に「外国人スタッフをどう定着させるか」「在留資格(ビザ)の更新手続きが毎回大変」といった悩みを抱える経営者は少なくありません。実は、健康経営優良法人認定を取得すると、こうした課題の解決に加えて、在留資格の申請手続きが大きく簡略化されるという、外国人雇用企業ならではの大きなメリットがあります。この記事で、そのしくみと活用法をわかりやすく解説します。

外国人スタッフを含む多国籍なチームで働く中小企業のオフィス

外国人材の採用が当たり前になった時代の課題

少子高齢化による労働力不足が深刻化するなか、外国人材は多くの中小企業にとって欠かせない戦力になっています。一方で、外国人雇用には日本人採用とは異なる特有の課題があります。

  • 言語・文化の違いによるストレス:慣れない環境での不安が、早期離職につながりやすい
  • 健康管理の難しさ:健診結果の説明や生活習慣のサポートが行き届きにくい
  • 在留資格(ビザ)手続きの負担:採用・更新のたびに多くの書類提出が必要

これらの課題に対して、健康経営の取り組みは有効な打ち手になります。しかも、後述するように健康経営優良法人認定を取得すれば、在留資格の手続き負担そのものを軽くできるのです。

近年、外国人採用のハードルは上がっている

ここ数年、外国人材を取り巻く制度は大きく変わりつつあり、受け入れ企業に求められる基準も高くなっています。「これまでどおり採用すればよい」という時代ではなくなってきました。

技能実習制度が廃止され「育成就労制度」へ(2027年4月施行)

2024年6月に公布された改正法により、これまでの技能実習制度は廃止され、2027年4月から新しい在留資格「育成就労」へ移行します。育成就労では、外国人材を「労働者」として適切に保護する観点から、日本語能力要件の設定、労働条件管理の厳格化、監理団体の許可要件の厳格化・外部監査人の設置義務など、受け入れ側に求められる体制のハードルが引き上げられます。

「転籍(転職)」が認められ、定着させる力がより重要に

育成就労では、一定の要件のもとで本人の意向による転籍(転職)が認められる方向です。これは「採用して終わり」ではなく、入社後も選ばれ続け、定着してもらう力がこれまで以上に問われることを意味します。労働環境が整っていない企業は、せっかく採用した人材が他社へ移ってしまうリスクが高まります。

円安と国際的な人材獲得競争の激化

円安の影響もあり、日本は外国人材にとって以前ほど「稼げる国」ではなくなりつつあります。アジア各国との人材獲得競争が激化するなか、賃金や条件だけでなく「働きやすさ・従業員を大切にする姿勢」で選ばれる企業になることが、採用成功のカギになっています。

こうした変化は、外国人を雇用する企業にとって逆風に見えるかもしれません。しかし、次に紹介する健康経営は、「定着」と「選ばれる会社づくり」という、まさにいま求められている力を高める取り組みです。さらに健康経営優良法人認定を取得すれば、厳しくなる在留資格の手続き負担も軽くできます。

外国人を雇用する企業に健康経営が効く3つのメリット

外国人スタッフの定着に向けて話し合う経営チーム

1. 外国人スタッフの定着率・離職防止につながる

外国人材は、来日直後ほど心身の不調を抱えやすい傾向があります。定期的な面談やストレスチェック、相談しやすい職場づくりといった健康経営の取り組みは、「この会社は自分を大切にしてくれる」という安心感を生み、早期離職を防ぎます。採用・教育にかけたコストを無駄にしないためにも、定着支援は重要です。

2. 採用競争力が高まる

外国人材の獲得競争も年々激しくなっています。「従業員の健康を大切にする会社」という姿勢は、日本人・外国人を問わず求職者にとって魅力的です。健康経営優良法人認定を取得していれば、そのことを客観的な実績として発信でき、採用活動での差別化につながります。

3. 生産性の向上とコスト削減

体調不良による欠勤や業務効率の低下(プレゼンティーイズム)を防ぐことは、多様な人材が働く職場ほど効果が大きくなります。予防に投資することで、将来的な医療費・休職コストの削減にもつながります。

【本題】健康経営優良法人認定で在留資格(ビザ)申請が簡略化される

ここからが、外国人を雇用する企業にとって特に見逃せないポイントです。健康経営優良法人の認定を受けている企業は、在留資格の申請手続きで最も有利な区分に分類され、提出書類が大幅に少なくなります。

在留資格(ビザ)申請の書類を準備する担当者

在留資格申請の「カテゴリー」制度とは

「技術・人文知識・国際業務」などの就労系の在留資格を申請する際、出入国在留管理庁は雇用する企業(所属機関)をカテゴリー1〜4の4段階に区分します。このカテゴリーによって、提出しなければならない書類の量が大きく変わります。

  • カテゴリー1:上場企業、官公庁、公益法人、そして一定の条件を満たす認定企業等
  • カテゴリー2:前年の給与所得の源泉徴収税額が1,000万円以上の団体・個人 など
  • カテゴリー3:前年分の法定調書合計表を提出している団体・個人(中小企業の多くが該当)
  • カテゴリー4:カテゴリー1〜3のいずれにも当てはまらない団体・個人

健康経営優良法人認定企業は「カテゴリー1」に分類される

ポイントはここです。健康経営優良法人の認定を受けた企業は、カテゴリー1の「一定の条件を満たす企業等」として扱われます。これは、上場企業や官公庁と同じ最上位の区分です。

本来、多くの中小企業はカテゴリー3に該当し、申請のたびに登記事項証明書や決算書など多くの書類をそろえる必要があります。しかし健康経営優良法人認定を取得すれば、規模の大小に関わらずカテゴリー1として申請でき、手続きが大きく軽くなるのです。

具体的にどの書類が不要になるのか

カテゴリー1(および2)は「信用力のある企業」と位置づけられるため、労働条件通知書をはじめとする多くの添付書類が原則不要になります。カテゴリー3との違いを整理すると、次のとおりです。

提出書類 カテゴリー3(一般の中小企業) カテゴリー1(健康経営優良法人など)
在留資格の申請書・写真 必要 必要
カテゴリーを証明する資料(認定証の写し等) 必要(認定証の写しなど)
登記事項証明書 必要 原則不要
直近年度の決算文書の写し 必要 原則不要
労働条件通知書・雇用契約書 必要 原則不要
履歴書・学歴(卒業)を証する文書 必要 原則不要
事業内容を明らかにする資料 必要 原則不要

つまりカテゴリー1になると、申請書と写真、そして「認定を受けていることを証明する書類」をそろえるだけで申請できるケースが多く、準備の手間と時間が劇的に減ります。

この簡略化がもたらす実務メリット

  • 新規採用・在留期間更新のたびの負担が減る:外国人スタッフが増えるほど効果が大きい
  • 審査・許可までのスピードが上がりやすい:書類が少ないぶん、手続きがスムーズに
  • 担当者・行政書士への依頼コストの抑制:書類収集の工数が減る

外国人材を継続的に採用していく企業ほど、この「毎回の手続きが軽くなる」効果は積み重なって大きなメリットになります。

注意点

カテゴリー1として申請するには、申請時点で健康経営優良法人の認定を受けており、その認定を証明する書類(認定証の写し等)を提出する必要があります。また、必要書類は在留資格の種類や個々のケース、管轄の出入国在留管理局の判断により異なる場合があります。実際の申請にあたっては、行政書士や入管窓口での確認をおすすめします。

健康経営優良法人認定を取得するまでのステップ

健康経営優良法人認定に向けて取り組みを進める中小企業

認定取得は、次のような流れで進めます。難しく考えず、できることから着手するのがポイントです。

  1. 協会けんぽ・健康保険組合の「健康宣言」に参加する
  2. 経営者が健康宣言を行い、推進担当者を決める
  3. 健康診断の受診率100%・ストレスチェックの実施など、認定基準の項目に取り組む
  4. 取り組み内容を記録し、申請書を作成・提出する(申請は毎年8〜10月頃)

外国人スタッフを含めた健康管理体制を整えることは、認定基準を満たすだけでなく、職場全体の働きやすさ向上にも直結します。

まとめ:外国人雇用企業こそ健康経営で「守り」と「攻め」を両立できる

健康経営は、外国人スタッフの定着・採用競争力・生産性という「攻め」の効果に加えて、在留資格申請の簡略化という外国人雇用企業ならではの実務メリットをもたらします。認定によってカテゴリー1に区分されれば、採用・更新のたびの書類負担が大きく減り、外国人材を継続的に受け入れる体制づくりが一段と進めやすくなります。

京都・宇治を拠点に、大阪をはじめ関西一円の中小企業を支援するおおつかFPコンサルティングでは、健康経営優良法人認定の取得サポートを行っています。「外国人を雇用しているので在留資格の手続きを楽にしたい」「何から始めればいいかわからない」という経営者の方は、ぜひお気軽にご相談ください。健康経営エキスパートアドバイザーの大塚が、貴社の状況に合わせて無理のない一歩からご提案します。

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