2026年6月26日、神戸市産業振興センター ハーバーホールで開催された「令和8年度 健康経営セミナー ~第9回 兵庫県健康づくりチャレンジ企業アワード表彰式~」において、当社が健康経営の推進をご支援している大塚ファンド株式会社(兵庫県姫路市)が、全国健康保険協会(協会けんぽ)兵庫支部長賞を受賞されました。

従業員9名・全社員フルリモートという小規模企業でありながら、県の審査委員会から高い評価を受けての受賞です。「人手も予算も限られる中小企業に、健康経営なんて無理では?」とお考えの経営者の方にこそ読んでいただきたい事例ですので、受賞に至った取組の中身をご紹介します。
兵庫県健康づくりチャレンジ企業アワードとは
兵庫県と全国健康保険協会(協会けんぽ)兵庫支部が主催する表彰制度で、県に登録された「健康づくりチャレンジ企業」の中から、従業員の健康づくりに優れた取組を行っている企業を表彰するものです。学識経験者らで構成する選考委員会の審査を経て決定され、受賞企業の取組は記者発表や県のホームページで広く紹介されます。
表彰区分は、最優秀賞(知事賞)が1社、全国健康保険協会兵庫支部長賞が3社程度。今回、大塚ファンド株式会社が受賞したのは後者の協会けんぽ兵庫支部長賞です。
注目していただきたいのは、この制度が「大企業向け」ではないという点です。健康経営銘柄やホワイト500の認定実績がある企業はむしろ表彰対象から除外されており、これから健康経営に取り組む地域の中小企業を後押しすることを狙いとした制度になっています。
受賞企業のプロフィール
大塚ファンド株式会社は、兵庫県姫路市に本社を置く1994年設立の企業です。IT導入支援やデジタル人材育成などを手がけており、常時雇用者数は9名(うち女性7名)。全社員がフルリモート勤務という働き方を採用しています。

フルリモートは通勤負担がない一方で、社員の運動不足が見えにくく、コミュニケーションも減りやすいという健康面の弱点を抱えます。同社の取組は、まさにこの弱点に正面から向き合ったものでした。
評価された4つの取組
1. 健診受診率100%、保健指導実施率100%
定期健康診断の受診率は対象者9名全員が受診し100%。さらに、健診結果を受けた保健指導についても、特定保健指導・地域産業保健センターの医師による保健指導ともに、対象者全員が実施(実施率100%)しています。要精密検査となった社員には、メールや直接の声かけで受診勧奨を行っています。
「受けさせて終わり」にせず、健診の後をきちんと拾う。地味ですが、健康経営の土台として最も評価される部分です。
2. ウォーキングイベントで平均歩数が3.5倍に
従業員アンケートで運動意識の低さが判明したことをきっかけに、ウォーキングイベントを継続的に実施。数字の変化が明快です。
- 2023年度の平均歩数:約1,500歩
- 2024年度の平均歩数:3,570歩
- 2025年度のイベント期間中:5,381歩
2024年12月には保険会社主催のオンラインウォーキングイベントに社長以下全社員で参加。歩数だけでなくその日撮った写真も共有することで、健康づくりがそのまま社内コミュニケーションの活性化につながりました。2025年10月には自社でウォーキングアプリを導入し、各自が目標歩数を設定して声を掛け合う仕組みへと発展させています。
厚生労働省が目標とする8,000歩にはまだ届いていませんが、「1,500歩 → 5,381歩」という改善の軌跡を数値で示せたことが高く評価されました。健康経営は完璧である必要はなく、課題を数字で捉えて改善し続ける姿勢が問われます。
3. ストレスチェックの集団分析から職場環境を改善
従業員50人未満の事業場ではストレスチェックは努力義務ですが、同社は全従業員に実施し、さらに集団分析まで踏み込みました。
分析の結果、全国平均と比べて「不安感」の数値が低く、それが「職場環境によるストレス」と強く相関していること、そして「上司や同僚からのサポート」が心身の反応に大きく影響していることが判明。この結果を受けて、社内の一角をコワーキングスペースとして整備し、同じ空間で作業や打ち合わせができる環境を用意しました。
データを取って終わりにせず、打ち手まで実行したことが評価のポイントです。
4. 女性が働きやすい職場環境づくり
従業員9名中7名が女性という構成を踏まえ、女性の健康に特化した社外相談窓口を設置。健康課題に対応できる社内体制を整え、生理休暇も取得できるようにしています。加えて、運動指導士を招いた社内講演を実施し、ストレッチや体操を「なぜ必要か」から学べる機会を全社員に提供しました。
中小企業が健康経営で成果を出すための3つのポイント
今回の受賞事例から、中小企業の経営者の方が明日から使えるポイントを3つに整理します。
ポイント1:規模の小ささは不利ではない
従業員9名の会社が県の表彰を受けました。むしろ小規模だからこそ、全員参加・受診率100%といった「全社的な徹底」が実現しやすいという強みがあります。大企業の真似をする必要はありません。
ポイント2:現状を数値で把握することから始める
同社はアンケートで「平均1,500歩」という現実を直視するところから始めました。まず測る、次に打ち手を決める、そして変化を追う。この順番を守るだけで、取組は説得力のあるストーリーになります。
ポイント3:公的な認定・表彰制度を活用する
健康づくりチャレンジ企業のような都道府県の登録制度は、無料または低コストで参加でき、受賞すれば県のホームページや記者発表で紹介されます。採用力の強化や取引先からの信頼向上という、直接的なリターンが期待できます。京都府・大阪府をはじめ、各府県に同種の制度が用意されています。
まとめ:健康経営は「人が辞めない会社」への投資
人手不足が深刻化するなか、健康経営は福利厚生ではなく経営戦略そのものになりつつあります。社員が健康で働き続けられる会社は、離職が減り、採用でも選ばれ、結果として生産性が上がります。今回の受賞事例は、9名の会社でもそれが実現できることを示しています。
おおつかFPコンサルティングでは、京都・宇治(城陽)を拠点に、大阪・兵庫を含む関西一円の中小企業を対象に、健康経営の導入から認定・表彰制度への申請までを一貫してご支援しています。「何から手をつければいいかわからない」「申請書の書き方がわからない」といった段階からのご相談で構いません。
自社の健康経営を次のステージに進めたいとお考えの経営者の方は、お気軽にお問い合わせください。現状のヒアリングから、御社に合った進め方をご提案します。